技能実習生として外国人材の受け入れを検討する企業において、重要になるのが技能実習生の入国に関する情報です。
外国人技能実習制度では入国に関する細かな条件があり、いつからいつまで入国できるのかも定められています。
本記事では、技能実習生の入国に関する話題を中心に、必要な手続きや長期滞在の条件などを解説します。
技能実習生の入国はいつからいつまで可能?
技能実習生として日本に入国する際、いつからいつまで行えるのかについて、大きく3つに分けられます。
入国1年目
入国2年~3年目
入国4年~5年目
ここでは入国1年目から5年目までのケースをまとめました。
入国1年目(技能実習1号)
入国1年目の技能実習生は「技能実習1号」という在留資格を得ます。
日本には1年間滞在できるものの、最低1か月間の入国後講習を受けなければなりません。そのため、受入れ企業に与えられる期間は最長11か月です。
しかも、技能実習1号から2号への移行に向けて試験に合格しなければならず、それに向けた準備も必要です。
技能試験は省令で指定された試験となっており、試験の合格は欠かせません。
また移行の際には在留資格変更許可申請が必要で、住民税の課税証明書や技能実習計画の認定通知書、申請書の写しなども提出します。
入国2年~3年目(技能実習2号)
技能実習1号を修了して技能実習2号に切り替わると、1年ずつの更新で最長2年間の滞在が認められます。
技能実習2号に移行できる職種は90職種165作業で、これに該当する職種・作業を担う外国人でないと滞在1年ほどで母国に帰らざるを得ません。
1年ごとの更新とはいえ、技能実習3号に向けた試験は入国3年目にあるため、2年目からはある程度落ち着いた中で実習に臨めます。
とはいえ、技能実習3号への移行は技術の習得など若干ハードルが高く、希望者が誰でも移行できるとは限りません。
入国4年~5年目(技能実習3号)
技能実習3号も2年間ですが、実はこの2年間のいずれかで、一時帰国の予定を立てて実行しなければなりません。
一時帰国は技能実習法で定められたルールとなっています。そのため、どちらかの選択肢を選ぶことになります。
技能実習3号が始まる前に1か月以上
技能実習3号が始まってから1年以内に1か月以上1年未満
一時帰国期間は実習期間に含まれないため、日本には丸々2年間の滞在が可能です。
コロナ禍で入国制限の措置を下した地域があるなど、活動が制限された過去もありましたが、今は緩和の流れにあります。
技能実習生の入国に必要な手続きとは?
技能実習生を外国から受け入れて入国させる際にはいくつかの手続きが必要です。
技能実習計画の認定
実習実施者の届出
監理団体の承認
ここでは、技能実習生の入国に必要な手続きについて解説します。
技能実習計画の認定
企業側は、受入れを目指す技能実習生ごとに技能実習計画を作成し、複数の申請書を出すなどして認定を目指します。
技能実習計画には技能実習の目標を始め、待遇面や責任者の名前などを記載する必要があるためです。
認定にも基準や要件があり、技能実習の目標や内容が定められた基準に合致するかどうかなどを踏まえた上で判断されます。
認定申請は技能実習を開始する半年前から行えますが、最低でも4か月前の時点では申請しなければなりません。
また技能実習生1号~3号までの各区分でそれぞれ計画の認定・審査が必要で、認定されると技能実習計画認定通知書が交付され、関係各所に報告されます。
実習実施者の届出
技能実習計画の認定を受けたら、実習実施者の届け出を行います。
主に企業やその職員が務める実習実施者には技能実習生を適切な場所で指導していく義務があるため、実施状況報告書などの書類提出が必須です。
また実習実施者は、名簿や履歴書などの重要書類・資料を1年間保管し続ける義務もあります。
届出が受理されると「実習実施者届出受理番号」が交付され、さまざまな申請で用いることになるでしょう。
監理団体の承認
このプロセスで最も重要なのは、監理団体の承認です。団体監理型で受け入れる際には監理団体の承認が欠かせないほか、初めて実習生を受け入れる際には、受入経験豊富な監理団体を活用した方が確実です。
監理団体を見つける際には、一般監理事業許可もしくは特定監理事業許可など許可区分の違いや監理団体が対応できる地域などをチェックして決定します。
その後、採用計画や求人、面接などを経て外国の送出機関から技能実習生の受入を行っていきます。
技能実習生の滞在期間延長をするには?
技能実習生の滞在期間は、技能実習1号から2号、もしくは2号から3号への移行があるたびに延長可能です。
ここでは移行するための方法などを解説します。
技能実習1号から2号への移行
技能実習1号から2号への移行では、技能検定の基礎級合格などが必要です。
少なくとも実習が終わる半年前には技能検定試験の受検申し込みが必要とされ、2号への移行の有無に関係なく受検することが求められています。
また技能実習2号に移行できる職種は90職種165作業があり、該当していなければ、受検もできません。
おおよそ入国してから8か月あたりが受検のタイミングになるため、移行に向けたトライアルは入国後半年から始まります。実習生に一定の技術力があれば問題のない所といえます
技能実習2号から3号への移行
技能実習2号から3号への移行では、技能検定3級合格以外にも、実習実施者の優良認定なども必要です。
企業単独型の場合、受入企業側が優良認定を受けていないと、技能実習3号の外国人を受け入れられません。
優良認定は事前に定められた基準に適合することで認定されるため、これまで企業側が行ってきたことが評価されます。
ちなみに企業側が優良認定の評価を受けると、受入人数が拡大し、実習生の採用枠を増やせるのが大きなメリットです。
一方、企業が過去に何らかの問題を起こしていると優良認定が厳しくなるどころか、受入自体が厳しくなります。
特定技能に移行すれば長期間の滞在も可能
技能実習制度では最長5年の滞在ですが、ここから特定技能に移行することでさらなる滞在も可能となります。
ここでは特定技能に移行した場合の滞在年数の変化についてまとめました。
特定技能1号への移行
技能実習2号もしくは3号まで完遂した技能実習生は、特定技能1号に移行できます。
技能実習1号から3号まで日本に滞在していた外国人は最長10年も滞在できる計算です。
また、技能実習2号もしくは3号までにやってきた業務内容と特定技能1号の業務が関連していれば、試験が免除されるのが特徴です。
特定技能1号になれば、一定期間の更新こそありますが、特定技能1号になることで最長5年間の滞在が認められます。
事前に技能実習を修了したことを証明する技能実習修了証明書を発行していれば、一時帰国後に再度特定技能1号の資格をスムーズに得ることも可能です。
特定技能への移行の際には登録支援機関と支援委託契約を結んで、支援計画を策定していくことが必要になります。
特定技能2号への移行
特定技能1号で一定の水準を満たせば、特定技能2号への移行ができます。
特定技能2号の特徴は一定期間の更新があるものの、滞在期間に上限がない点です。事実上の永住が可能になるだけでなく、家族を母国から呼んで住まわせることも可能になります。
令和5年に特定技能2号の対象分野が拡大され、ほぼすべての分野が対象となり、技能実習生から段階を経て特定技能2号を目指すルートができたといえます。
ちなみに介護だけは移行対象ではありませんが、既に在留資格として「介護」が存在しているためです。
技能実習生が入国するための準備と注意点
技能実習生が日本に入国する際には、前もって準備を行い、注意点を洗い出す必要があります。
日本での住居と生活準備
雇用契約書と労働条件の確認
ここでは、技能実習生が入国するための準備と注意点をまとめました。
日本での住居と生活準備
技能実習生を受け入れる際には、日本での住居と生活準備を進める必要があります。住居の準備・支援などは受入れ企業が行わなければならないからです。
技能実習生は日本に入国しても、最低1か月間の入国後講習を受けなければならず、その間の住居も受入れ企業が手配します。
しかも、技能実習生の住居に関する規定はかなり細かく、すべての条件を満たした住居の確保を事前に目指すことが大切です。
雇用契約書と労働条件の確認
技能実習生を雇用する際には、雇用契約書や労働条件の中身を確認することが欠かせません。
技能実習生は入国1年目から労働基準法で守られる立場であり、労働基準法に適合したルールでの対応が求められます。
参考:法務省
雇用契約書も母国語などで記載したものを用意するほか、雇用契約期間の確認も必要です。
また社会保険の説明や控除の仕組みなど、他の国ではないシステムや労働条件の細かな説明を行うことで不安をなくした状態で働いてもらえます。
まとめ
技能実習生を入国させるまでには、色々な手続きがあります。
一方で、最終的にいつまで外国人労働者を滞在させるかを考慮して計画を立てることも必要です。
長く滞在してくれれば、それだけ戦力になりやすく、会社を支え、事業展開に協力してもらえる存在となり得るからです。
その目的まで踏まえて、技能実習生として招き入れることが企業側に求められています。
サークルズ協同組合は、2000年に設立された監理団体です。長年の経験を活かして、受入企業様にも実習生にも安心のサポート体制を提供します。ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。